Peter Zumthor
Thinking Architecture
Birkhauser

Peter Zumthor(ペーター・ツムトール、日本ではピーター・ズントーが一般的)
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YouTube(Peter Zumthor)
http://jp.youtube.com/results?search_query=Peter+Zumthor&search=%E6%A4%9C%E7%B4%A2

P.12
予備的な見込み
Peter Zumthor:その最後において、組み立てられたフォーム(形態)、つまり建築は具体的な世界にその場所を得る。これがそれが存在しているところである。これがそれがその言明をしているところである。今はまだ実現していない建築の作品の描写は何かを口に出す試みを表現していて、その何かとはそれが意味されるものに対して具体的な世界の中でその場所をまだ見つけていないものである。
建築のドローイングはその意図された場所の中で建物のアウラ(オーラ)を可能な限り正確に表現しようとする。しかし正確にその描写の努力はしばしば実際のオブジェクト(もの、客体)の不在を強調することに奉仕し、そこで現れるものは、如何なる種類の描写や、それが約束する(見込まれる)現実についての好奇心や、おそらくは(もしその約束(見込み)が私達を突き動かす力を持っているのであれば)そのプレゼンス(存在、現前性)への切望の不適当さの気付き(認識)だ。

P.13
Peter Zumthor:もし自然主義と建築の描写の描写的な名人芸があまりに素晴らしく、もしそれらが、そのドローイングの現実性についての私達の想像力と好奇心がそのイメージを人の心に染み込ませることができる「オープン・パッチ」が不足していたら、描写それ自身が私達の欲望のオブジェクト(客体)となり、それを越えた意図された現実を示す表現の中には殆どあるいは何もないから、その現実性に対する私達の切望は弱くなる。
未来にまだ存在する現実を言及するデザイン・ドローイングは私の作品では重要だ。私が探している普通の雰囲気が現れるとき表現の繊細なポイントにそれらが到達するまで私はドローイングに取り組み続け、本質的でないものがその衝撃から減じ始めるまでに私はやめる。ドローイングそれ自身は探し求められたオブジェクト(もの、客体)の質を帯びなければならない。それは彫刻家による彫刻の為のスケッチの様であって、単にアイデア(考え)のイラストレーション(図解)ではなくて創作のワークの本質的な(内在的な)一部であり、それは建設されたオブジェクト(もの、客体)で終わる。
これらの種類のドローイングは私達が後ろに歩みを進めたり、見たり、まだ存在していなくまさに出現し始めたものを理解することを学ぶことができるようにする。

封印されたオブジェクト(もの、客体)の中の裂け目
Peter Zumthor:建物は人工的な構築物である。それらは一緒に繋がれるべき個々のパーツで構成されている。かなりの程度、完成されたオブジェクト(もの、客体)の質はその連結の質によって決定される。
彫刻においては、その連結の表現を最小にしオーバーオールの形態の為に個々のパーツの間をつなげる伝統がある。例えば、リチャード・セラの鉄のオブジェクト(もの、客体)はより古い彫刻の伝統の石や木の彫刻と同じようにまさに同質で一体化している様に見える。

Richard Serra(リチャード・セラ)
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P.15
Peter Zumthor:1960年代と70年代のアーティストによる多くのインスタレーションやオブジェクト(もの、客体)は、私達が知っている最もシンプルで最も明白な連結や結合の方法に依拠している。ボイスやメルツや他のアーティストは、個々のパーツから全体を発展させるとき、しばしば空間にルーズに(自由に、いいかげんに)設置したり、ぐるぐる巻いたり、折り畳んだり、積み重ねたりした。

Joseph Beuys(ヨゼフ・ボイス)
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Mario Merz(マリオ・メルツ)
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→確かツムトールのスタジオにボイスの作品がある写真をどこかで見た、プレゲンツの美術館の外壁のガラスの被覆はマリオ・メルツの彫刻の影響だ。(井戸)