アートコートギャラリーにmigratory -世界に迷い込む-展を見に行ってきました。
林勇気さんの「landscape」2009はすごくいい作品だと思います。neutronでの「overlap」展を見た時は、「ちっちゃなオッサン(妖精)」の世界だなと感じたのですが、今回は奥行感がありその世界に引き込まれてしまいます。実際のモニターや投影映像の大きさという違いも理由の一つですが、それだけ「overlap」と「landscape」の作品の間にはスケール感の違いがあり、前者は現実的なミクロな世界、後者は空想的なマクロな世界です。
ウィリアム・ケントリッジ展でも感じましたが、強制的に見させる「物語」のある映像作品は一種の暴力(権力)を感じてしまいます。すべては権力(力)であるとは思いますが、如何にその意味作用や神話作用、既存の形式に納まろうという集団的無意識から自由になるか。林さんの作品は一応物理的に始まりと終わりはありますが、何処まで鑑賞するかを強制しません。ロラン・バルトが「表象の帝国」で「すき焼き」を挙げながら始まりと終わりがないと同時に始まりと終わりは何処にでもある世界を描いていますが、意味や起承転結から宙吊りにされ、解放された世界、そういう世界を呼び起こしてくれる作品が僕は好きです。
アートコートギャラリー
migratory -世界に迷い込む-
http://www.artcourtgallery.com/images/exhibition/2009/exhibition_2009_1124_migratory_2.html#migra_b
林勇気さんのHP
http://www1.odn.ne.jp/tropfen/kanyukuyuki/