PETER ZUMTHOR WORKS
Buildings and Projects 1979-1997
Photographs by Helene Binet
Text by Peter Zumthor
Lars Muller Publishers

Peter Zumthor(ピーター・ズントー)
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P.8
私は設計するとき、空間的に結合された思考の質を使用しようとする。私は、住居の、私達が私達の体を入れていた場所や空間に存在してきた個人的で集められた経験の蓄えを、私の作品(仕事)の肥沃な土壌とスターティング・ポイントとみなしている。最初のイメージが現れるのはこの経験の豊かさからであり、そのイメージは、新しい革新的な形態とプレゼンス(現前性)がついに創り出したところからのものである。私にとって設計における作品(仕事)は住居で始まり住居にかえってくる過程である。心の中では、私が設計している家の中で何が生活しているかのように感じるのか心に描き、私はその物理的な(自然の、身体的な)放射を創造しようとする。同時に私達が作りうる場所と空間のすべての経験を思い出しながら、それらは私達が既に作っていて、それらは私達はまだ作らなければならないものであり、まだ建てられてないものとして家の中で私達に作らせようとする経験を夢に見る。
このように、私が設計し建てるであろう新しいオブジェクトのための探求は主として、世界中(森の中、橋の上、街の広場、家の中、部屋の中、私の部屋の中、あなたの部屋の中、夏に、朝に、たそがれに、雨の中)の私達のこれだけ異なった住居の多くの場所を私達が本当に経験したその道程への反映(熟考)でなっている。私は外で走っている車の音を、鳥のさえずりを、通行人の足音を聞く。私はドアの錆びた金属を、背景の丘の青を、アスファルトの上の空気のかげろう(ゆらめき)を見る。私は私の後ろの壁によって反射される暖かさを感じる。ほっそりとした窓のカーテンはそよ風の中の動きを穏やかに休め、空気は植木鉢の土によって保存されていた昨日の雨の湿気の匂いがする。私が見るすべてのもの、大地をつかむセメントのスラブ(床)、トレリス(ツル植物の棚)のワイヤー、テラスののみで彫られた手摺り子、通路の上の漆喰を塗られたアーチ、それらはすべて着用の、使用の、住居の痕跡を示す。

P.9
それから私はより注意深く観るとき、私が見るものごとは私になぜ、いかにして、どんな目的でそれらが作られたのかについて何かを語り始める。すべてこれは明かされる。あるいは隠されている。それらの形態とプレゼンス(現前性)の中に。