Felix Gonzalez-Torres
edited by Julie Ault
steidl dandin Publishers

Felix Gonzalez-Torres(フェリックス・ゴンザレス=トレス)
http://images.google.co.jp/images?hl=ja&inlang=ja&ie=Shift_JIS&oe=Shift_JIS&q=Felix+Gonzalez-Torres+&lr=&um=1&sa=N&tab=wi
http://www.b-sou.com/palm-Gonzalez.htm
YouTube(Felix Gonzalez-Torres)
http://jp.youtube.com/results?search_query=Felix+Gonzalez-Torres&search=%E6%A4%9C%E7%B4%A2

P.49
RN:フォーチューン・クッキー(おみくじ入りクッキー)の積み重ねは初めての「食べ物の作品」だったんですか?

FGT:そう。

RN:それはあなたがしてきたことと関係していた。なぜなら内部に印刷された情報があったからだ。私はBaciチョコレートの作品の中にテキストがあったことを実感しなかった。その内部のテキストは愛についてのものだった?、なぜならbaciはキスだから。

FGT:そうだ。その作品は特にRossに対してのものだった。分配に関して言えば、その作品はあなたの手の中で・・・一つよりも多くの方法の中で保ち続けることはとても困難だった。

RN:如何にキャンディーの作品がお金や身体と関係しているかについて話せますか?

FGT:「Lover Boys」と呼ばれるその作品は、体重を基本としたキャンディーの積み重ねだ。私は私自身の体重あるいは私とRossの体重を一緒にして使用した。もし私が誰かのポートレートをするなら、私は彼らの体重を使う。

RN:あなたは同様に見ている人の身体も巻き込む(結果として影響を与える、含意する)。あなたはおそらく見ている人に、彼らの口の中に作品の一部を置かせ、それをなめさせた初めてのアーティストだ。

FGT:それはいい。口の満足感。USA Todayの作品は「シュガー・ラッシュ(砂糖の恍惚感)」だった。愛国心とともにあなたは本当にハイになり、とても多幸感を得る。しかしそれからあなたは鬱になる・・・。

RN:最後のキャンディーの作品はプラセボ(有効成分のない偽薬)だった。それはあなたの作品すべての最も際立ったプレゼンス(現前性、存在感)をこのように大いに持っていた。それはまさに視覚的にすごく美しかった。しかし私達はプラセボは何か知っている、それは欺くことであると。

FGT:それは意味をもつピース(作品)だ。

RN:それはあなたの最も美しい「シアトリカル(演劇的)な」作品だ、しかし如何にそれは意味をなすのか?

→マイケル・フリードの「演劇的」というミニマリズムに対する批判。(井戸)
http://www.dnp.co.jp/artscape/reference/artwords/a_j/instantaneousness.html

P.50
FGT:美しいものはとてもだまし(欺き、惑わし)得る。それは如何に殆どの物事が私達の文化の中で作動(機能、活動)しているかということである。それらはあなたをほんのしばらくの間いい気分にさせる。素朴な(原始の、新鮮な)、家族指向の政治(支配、国家)は良く見える。それはプラセボだ、なぜならそれらはアート作品だから。それの本当の意味は何か?それは何?に対する代理だ。そう、プラセボは本当に美しい・・・、しかし展示の5日間だけだ。

RN:何処から「Every Week There is Something Different(毎週、何か違ったことがある。)」のアイデアが来たの?

FGT:私は完全に一ヶ月の間ギャラリーの中に何かを置き去りにしなければならない規則は無いと思った。私はそれに挑戦し、ある種の物語を創り出し・・・、それを差し出してはそれを引っ込め、何かを創り出してはそれを破壊し、安定したものは何も無い緊張を創り出したい。あなたは一ヶ月間の展示をあてにすることさえできない。

RN:私はロバート・モリスの1969年の「Continuous Project Altered Daily(継続的なプロジェクト、部分的に変えられた毎日)」を思い出した。その写真を見ながら、あなたはプロセスの中の、アート作品の安定性に、つまりそれは解決あるいは最終的な形(形式)を持ったのか?という問いを投げ掛ける状況の中の、進行の意図の中の何かを見る。しかしあなたの展示では口を通して展開する一つのピース(作品)はなかった。

Robert Morris(ロバート・モリス)
http://images.google.co.jp/images?hl=ja&ie=UTF-8&q=Robert+Morris&lr=&um=1&sa=N&tab=wi

P.51
FGT:ピース(作品)はギャラリーに運ばれ取り除かれた。あるいは一つのピース(作品)は他のピース(作品)の上に部分的に重なり、あなたの解釈は変化させられた。あなたの展示は展覧会の枠組へいくらかの疑いを差し挟んだが、いくらかの現実性、私達が考えることとすべての物事もまた本質的に変化する。

→ここでの論点は時間(作品の中の時間と見る人と作品の間の時間)と作品の安定性(不変性)、作品が期間中ギャラリーに展示される=置き去りにされたままという暗黙の因習的なルールのようだ。(井戸)